現在の工業において、
食品の製造や自動車や電子部品など、
多くの製造ラインは自動化(FA)されてきている。
自動化された製造ラインにより人々は効率よく、
「機械」や「部品」を製造することができるようになった。
その昔、とある人はその「製造ライン」自体を
「製造ライン」で作ることはできないか、考えた。それは、
自分自身と全く同じものを作れる機能を持つ「製造ライン」
であり、
「機械」や「部品」を作れる機能も持つような「製造ライン」。
これがひとたびできれば、人間はもはや何もしなくても、
「製造ライン」は増えていく。
現在の機械工学や品質工学、認知科学を駆使しても
無理だろうが、将来このような「製造ライン」は
作れる可能性はあるのだろうか?
さらにこの「製造ライン」は自分よりも優れた、
複雑な「製造ライン」を作ることは可能だろうか?
このような「製造ライン」はむしろ自己増殖する「機械」
と呼んだほうがいいのかもしれない。
「製造ラインの部品」を作ることはできるだろうが、
この自己増殖する「機械」を作ることは論理的にも
可能なのだろうか?
こうした疑問は子どもの時は誰もが想像すると思うが、
技術者のみならず、科学者、哲学者にとっても
興味深いものである。
このような機械が作られれば
人類史上にも残る瞬間が到来することになる。
人々の生活は想像もできないほど一変するだろう。
さて、疑問の答えはイエスである。
現実よりも簡単な法則の架空の世界(空間)のなかで、
自己再製機械が作れることが可能である、
と、歴史上で頭のいいランキングにランクインしている
(と思われる)
ジョン・F・ノイマンと彼の同僚のバークスが証明した*。
結論は、
その「機械」は
ある一定水準以上の(しかもかなりの)複雑さを持てば、
自己再製機械となりえる、というものだ。
ちなみにこのときに利用された「万能チューリング機械」が、
現在あるPCなどの基盤となっている。
論理的に可能な計算ならば全て実行できる機械が
「万能チューリング機械」だ。
万能チューリング機械は極めて単純な構造を持つ。
現在のコンピュータが計算できるものは全て、
万能チューリング機械で計算できる。
また、人間の頭脳ができることは
全て万能チューリング機械で計算できる。
(現在のほとんどの「コンピュータ」が
ノイマン型コンピュータとよばれるものである。)
話題がずれそうなので続く。
(きっと。)
*(参考文献;「ライフゲイムの宇宙」より)