過去の掲載記事から

機械を製造する機械について。(その1) (2008年02月18日)

現在の工業において、

食品の製造や自動車や電子部品など、

多くの製造ラインは自動化(FA)されてきている。

自動化された製造ラインにより人々は効率よく、

「機械」や「部品」を製造することができるようになった。



その昔、とある人はその「製造ライン」自体を

「製造ライン」で作ることはできないか、考えた。それは、

自分自身と全く同じものを作れる機能を持つ「製造ライン」

であり、

「機械」や「部品」を作れる機能も持つような「製造ライン」。

これがひとたびできれば、人間はもはや何もしなくても、

「製造ライン」は増えていく。



現在の機械工学や品質工学、認知科学を駆使しても

無理だろうが、将来このような「製造ライン」は

作れる可能性はあるのだろうか?



さらにこの「製造ライン」は自分よりも優れた、

複雑な「製造ライン」を作ることは可能だろうか?

このような「製造ライン」はむしろ自己増殖する「機械」

と呼んだほうがいいのかもしれない。



「製造ラインの部品」を作ることはできるだろうが、

この自己増殖する「機械」を作ることは論理的にも

可能なのだろうか?



こうした疑問は子どもの時は誰もが想像すると思うが、

技術者のみならず、科学者、哲学者にとっても

興味深いものである。

このような機械が作られれば

人類史上にも残る瞬間が到来することになる。

人々の生活は想像もできないほど一変するだろう。



さて、疑問の答えはイエスである。

現実よりも簡単な法則の架空の世界(空間)のなかで、

自己再製機械が作れることが可能である、

と、歴史上で頭のいいランキングにランクインしている
(と思われる)

ジョン・F・ノイマンと彼の同僚のバークスが証明した*。



結論は、

その「機械」は

ある一定水準以上の(しかもかなりの)複雑さを持てば、

自己再製機械となりえる、というものだ。



ちなみにこのときに利用された「万能チューリング機械」が、

現在あるPCなどの基盤となっている。

論理的に可能な計算ならば全て実行できる機械が

「万能チューリング機械」だ。

万能チューリング機械は極めて単純な構造を持つ。

現在のコンピュータが計算できるものは全て、

万能チューリング機械で計算できる。

また、人間の頭脳ができることは

全て万能チューリング機械で計算できる。

(現在のほとんどの「コンピュータ」が

ノイマン型コンピュータとよばれるものである。)



話題がずれそうなので続く。

(きっと。)

*(参考文献;「ライフゲイムの宇宙」より)