フローティングゾーン法

 フローティングゾーン(FZ)法は、原料となる多結晶の試料棒の一部を加熱し、種結晶となる下部の単結晶と試料棒との間に溶融部を作り、その融液部を表面張力によって支えながら全体を下方に移動させ、融液部を冷却して単結晶を得る方法です。 坩堝を用いない結晶作製法であり、坩堝からの不純物混入が避けられ、純度の高い結晶が得られるのが特徴です。加えて、坩堝の耐熱温度が融解の最高温度の律速にはならないため、高融点物質も扱える利点があります。

 FZ法は溶液成長にも応用されており、溶媒を移動させながら単結晶成長をする方法はトラベリングソルベントフローティングゾーン法(TSFZ法)と呼ばれ、酸化物超伝導体を始めとする非調和溶融型の結晶成長にも用いられています。 加熱の方法は集光加熱式(図1)、高周波加熱式などがある。集光して得られる熱を利用して加熱する類似の方法にLaser Heated Pedestal Growth (LHPG)法がある。

 それぞれの特徴は表1の通りです。

図1 集光加熱式フローティングゾーン法の概念図

表1 FZ法、LHPG法、TSFZ法の特徴

製法特徴作成例
FZ法、LHPG法・成長方位の選択が可能
・高融点酸化物の作製可能
・雰囲気の選択肢が広い
・不純物の混入が少ない
シリコン、ルチル、バナデート
TSFZ法・成長方位の選択が可能
・雰囲気の選択肢が広い
・不純物の混入が少ない
希土類鉄ガーネット、各種酸化物超伝導体、
新規物質探索

他の結晶育成技術

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