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研究グループの概要
当研究グループは、東北大学多元物質科学研究所・先端結晶材料研究分野が発展的に改組されたのを契機に、当該分野の中心メンバーを核として、そこに東京大学大学院理学研究科、ロシア、韓国等の研究機関および国内の数社の企業から人が集う形で2007年4月に誕生致しました。前身となった研究室の意志を継ぎつつも、そこに新たな着想を融合させる形で研究を展開しております。
1980年代のパクス・ジャポニカと呼ばれた日本の繁栄は、”科学技術大国・日本”と称された世界に誇るべき学術・産業基盤に支えられていました。近年、一部で、日本がその基盤を失ったかのように言われていますが、いつまでもそんな言い訳ばかりしているわけには行きませんし、そもそも、天然資源の乏しい日本は科学技術を基盤とした国際競争力無しには成り立ちません。
更なる日本の繁栄のため、そして、人類全体の文明の向上のために、我々は、21世紀の市民社会の安全・安心を支える高機能デバイスを可能にする材料を創成して行くことで貢献して行きたいと考えます。
21世紀は、少子・高齢社会であり、21世紀が抱える問題としての難病治療、高齢化社会への対応という現実を真剣に受け止めた時、新しい世紀の社会に適合した産業の形態を創成すべきであります。工業重視の20世紀から、人間と工業の調和を目指して環境や医療福祉へのシフトが確実視されている中、21世紀には市民社会の安全・安心を支えるテクノロジーを具現化するものが新しい形の産業として発展すると考えられます。当該分野を飛躍的に進歩させ得る技術の一つのアプローチ法として、我々は安全・安心に資する「セキュアマテリアル」の開発研究を提唱しております。これは、未来の結晶材料技術を開拓する大きなテーマとなり得ると考えております。
この観点から、我々の研究グループでは、核医学、セキュリティチェック、核融合、資源探査、素粒子・宇宙物理といった多岐に渡る分野で用いられているシンチレータを中心とした結晶材料の開発、評価、および、そのデバイス化に関する研究を大きな柱と位置づけております。
多種元素の組み合せからなる無機化合物には未開拓の物質群が数多く存在し,既知の材料にはない特性をもつ物質が潜んでいる可能性があります。我々は固体化学の観点から新規多元系無機化合物の探索と新規合成法の開拓をすすめ,得られた物質の特性評価を行い、その特性を活かすデバイス設計までを研究対象としております。
また、新たに開発された合成法を既存素材の合成に応用し、高品質・高機能化を図る研究も行っております。
ただし、「”材料”とは実際に使われて初めて真の意味で”材料”と呼べるのである。」ことを真摯に受け止め、開発した新材料は常にデバイス化を目指し、得られた研究成果は近未来の事業に結びつけることを意識して研究を進めていることも我々の研究グループの特徴の一つです。
そのため、この新研究グループでは、開発した新材料をデバイスの視点から評価することも研究対象としております。
研究成果に興味を持ってくださる企業と積極的に連携し、開発した技術の移転、特許の共同出願等を行なう体制も整えられております。
また、国内の大学、国立研究所、企業との共同研究に加え、フランス、イタリア、ロシア、チェコ、アメリカなどとの国際共同研究を積極的に行っていることも特徴であり、学生も含め、研究グループメンバーは皆、年間に少なくとも1〜2回の海外研修を行っております。
我々は、上述の基本理念に基づき、独自の物質・デバイス設計指針と気合と根性で研究開発を行なっております。
最終更新/2016-12-22