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合金ファイバー
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過去に多くの研究者が膨大な数の研究を行った結果、その中から選ばれた一部の金属材料が、現在社会に浸透し人々の生活に役に立つようになっています。 しかしながら、優秀な機能を持ちながら加工が難しいなどの理由によって、製品として生産することが難しく有効活用されていない材料も多く存在します。 加工する際の負担を軽減できれば、これまでに実用化されなかった金属材料の新たな活用の範囲が広がるはずです。 当研究室では、長年培ってきた融液からの単結晶成長方法の一つである、マイクロ引き下げ(micro-pulling-down, μ-PD)法を 難加工性金属の新たな成形方法として適用する技術を開発しました。
この方法の特徴の一つとして、成長時の固液界面の形状を制御することで成長させる結晶の形状を制御にすることが可能です。 また高周波誘導加熱により原料を直接加熱、融解させるため、非常に高融点の金属材料であっても融液成長させることができます。
Ir金属およびIr合金材料は高強度であり、高融点(Ir:2739 K)で高温時に酸化されにくいという特徴をもつことから、 内燃機関の点火プラグや工業用の坩堝などに使われています。しかし、Ir金属やIr合金材料は延性に乏しく割れやすいため、 冷間加工を行うことはほとんど不可能で熱間加工で少しずつ成型する必要がありました。 そこで、我々は金属用マイクロ引き下げ(Alloy-micro-pulling-down, A-μ-PD)法を用いて融液から直接Ir線材を作製する技術を開発しました(図1)。 A-μ-PD法を用いることで、融液から直接線材の形状にすることができるため、成型加工や切削加工を施すことなくIr線材を作製することができます(図2、図3)。
この他にも、強度が高く加工が難しい形状記憶合金、生体材料用合金を用いた医療用ガイドワイヤーやステント、 各種電極材料等の一次成形後の線材を成型加工や切削加工なしに得られるため、多岐に渡る産業上の応用が考えられます。 吉川研究室では、そのような産業上の応用に向けた実用的研究も開発テーマとして、研究を進めています。