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マイクロ引き下げ(μ-PD)法
マイクロ引き下げ(μ-PD)法は坩堝下端に穴を空け固液界面を形成し、下方向に成長させる融液成長法です [1-5]。 1990年代に東北大学金属材料研究所で多くの酸化物、半導体の作製が試みられ、マイクロ引き下げ(μ-PD)法という名前が多く使われる様になりました[3-5]。 μ-PD装置の外観を図1に[6]、ホットゾーン近傍を図2に示します。
図1 μ-PD装置Micropuller O-01 |
図2 高周波型μ-PD法における |
μ-PD法の特徴として、以下が挙げられます。
- 結晶作製速度が速い
- 実効偏析係数keffが1に近い(図3)
- 形状制御結晶成長が可能
μ-PD法は特徴1と2によって、新規単結晶材料の探索において強力なツールとなっています(図4)。 作製可能な物質群は、当初は酸化物[3-5]が中心でしたが、精密雰囲気制御が必要なフッ化物[4-7]の単結晶作製が可能となり、 その後、更に本格的な吸湿性対策が必要な他のハロゲン化物[8]の作製技術も確立されました。近年は合金[9]や有機物[10]の作製も可能となっています。
製可能な物質の融点を決める大きな一因は坩堝です。1700℃以下では白金、白金?ロジウム合金が、2200℃以下ではイリジウム、イリジウム?レニウム合金が使われます。 また、ハロゲン化物用としてはグラファイトを用いることもできます。
図3 結晶成長法における |
図4 μ-PD法を用いた新規単結晶材料の |
- V. A. Tatarchenko, J. Cryst. Growth 37 (1977) 272
- S. Miyazawa, J. Cryst. Growth 60 (1982) 331-337
- D.H. Yoon, I. Yonenaga, T. Fukuda, N. Ohnishi, J. Cryst. Growth 142, 339 (1994).
- A. Yoshikawa, M. Nikl, G. Boulon, T. Fukuda, Opt. Mater. 30, 6 (2007).
- T. Fukuda, V.I. Chani, Eds., Shaped Crystals: Growth by Micro-Pulling-Down Technique (Springer-Verlag, New York, 2007).
- http://c-and-a.jp/
- A. Yoshikawa, K. Kamada, T. Fukuda, et al., J. Cryst. Growth 270, 427 (2004).
- Y. Yokota, A. Yoshikawa, et al., Radiation Measurements 45 (2010) 472?474
- A. Yoshikawa, Y. Sutou, “Metal Alloy Fibers”, Shaped Crystals Growth by Micro-Pulling-Down Technique, Springer-Verlag Berlin (2007) 331
- K. Kamada, A. Yoshikawa, et al., J. Cryst. Growth 452 (2016)162.