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有機結晶
中性子は透過力が極めて強く、鉄や鉛等の重い物質ではほとんど遮蔽されることなく透過します。 そのため、原子番号の大きな物質から構成される構造物内部のラジオグラフィに有効です。また、 原子番号の一番小さい水素原子に対しては敏感であるため、生体中に多く含まれる水素の同定にも使用されています。
今後の中性子利用については、単なる撮像でのみではなくエネルギースペクトルの取得もともに行うパルス中性子イメージング検出法や、 試料の核種とその温度を特定できる中性子共鳴吸収分光法など、多くの検出法が実用化に向けて開発が進められています。 これらの方法では飛行時間法(TOF)を適用する位置検知形中性子検出器の開発が必要であり、シンチレータの応答速度の高速化が大きな課題になっています。
吉川研究室では、中性子検出器への応用を目指して有機結晶を用いたシンチレータの開発を進めています(図1)。 有機結晶は中性子の反応断面積が大きい水素を多く含むため中性子の検出効率が高く、高速中性子の検出も可能です。 また、数ナノ秒以下の蛍光寿命を有するものもあり高速応答、潮解性がないという特徴を有しています。 結晶の育成から基礎的特性、中性子検出応用に向けた検出器の検討に至るまで、垂直統合的な研究を行っています。
Web Page 管理者 KUROSAWA, Shunsuke (kurosawaアットマークimr.tohoku.ac.jp)